相続財産の行方【漫画で解説①】

税に関するコラム



疑問①
父が亡くなる前に遺言書を作成していた場合は、その通りになりますか?

解説①
遺言書は法定相続分より優先しますが、亡くなった方の兄弟姉妹が相続人である場合を除き、相続人には「遺留分」という権利が保障されています。これは遺言書によっても奪うことができない権利です。
例えば、父が「全財産を長男に相続させる」と遺言書を作成しても、長女と二女は自身の「遺留分」を主張することができ、主張された長男は「遺留分」に相当する金銭を支払う必要があります。
(長女と二女の遺留分はそれぞれ法定相続分の1/2です。仮に、相続財産が1億円とすると、1人当たりの遺留分は1億円×1/3×1/2=約1,667万円となります。)
遺言書は、本来は財産を残す親が自由に配分を決めれば良いので、子ども達の同意は必要ありませんが、極端な配分の遺言書を作成すると紛争の原因になりかねません。
全ての相続人の「遺留分」を満たすことは現実的に困難ですが、「遺留分」に配慮した遺言書を作成しておくことが紛争防止に役立つものと思います。親の気持ちとしてはこうだということを書面化しておくことで、子ども達もそれに従って財産を承継しようという気持ちになりやすいのではないでしょうか。
なお、遺言書があっても、相続人全員が同意して、遺言書とは異なる遺産分割協議を行うことも可能ですが、この場合も遺言書の内容が一つの指針になると思います。

疑問②
現金や持ち家、不動産、等の相続財産があった場合、どのように振り分けられるのでしょうか。

解説②
遺言書が無ければ、相続人全員で遺産分割協議を行いますので、その話し合いの結果によります。
遺言書を作成する場合は、予めこの不動産は誰、金融資産は誰というように誰に何を承継するかを特定しますので、遺言者がどのように考えるかによります。
なお、遺留分については、財産全体に割合を乗じて算出しますので、財産の内容が不動産か金融資産かというのは関係しません。

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